息子は中学2年生でいじめにあい、学校に行けなくなりました。

もともとADHDの診断があり、本人の特性に合わせた工夫や対応をしていましたが、それも家族だけでの対応は難しく、家庭内での暴力もエスカレートしていきました。

当時は家族全員が疲弊し、気持ちがいつもどんよりと暗闇に包まれているように感じていました。

そんなある日、ひきこもりの支援を行う団体「K2」の情報を見つけ、K2事業説明会に参加しました。

「親が元気じゃなきゃ子供も元気になれない、まずは親を元気にしてあげたい」

子どもをつなげるより、まず親がつながり、家族会で他の親の話を聞いたり、相談する。そうすることで、何をしても行き詰り、もう対応策がない私たちにも何か対処しうる状況が生まれるかもしれない。代表の言葉に希望を感じ、家族の会への入会を決めました。

K2家族の会への入会後は、毎月の家族会に参加し、他の家族の話を聞くことで、自分たちだけが大変な思いをしているわけではないと感じ、勇気をもらいました。

自分がどんよりと悩んでいた苦労話が笑い話になったり、愚痴をただ否定せずに聞いてもらえたり、毎月元気をもらうことができました。

肝心の息子をどうK2に連れて行ったかですが、もちろん最初は息子も反抗的で、全く前向きな姿勢を見せませんでした。でも、現状を変えたいという気持ちは持っていたようで、なんとか説明会に参加させることができました。

その後、何度か面談をして頂いたり、ジョブキャンプという短期合宿などを経て入寮することができました。

横浜根岸での共同生活は、息子にとって大きな転機となりました。就労訓練ではお好み焼き屋のスタッフとして働き、初めはぎこちなかったものの、次第に自信をつけていきました。

共同生活中も何度かの失敗や挫折もあったかと思いますが、その都度スタッフのみなさんからサポートしてもらい、失敗をしたとしてもひどく叱責されず、やり直しをさせてもらうことができ、徐々に自信をつけていくことができました。

またK2では夏祭りやクリスマスフェスタなどのさまざまなイベントがあり、これまで年齢相応の楽しい経験を逃して来た若者が、地域で活躍する機会を創り出しています。息子がイベントの屋台や販売で活躍し、地域の中で楽しんでいる笑顔の写真などを見ると青春を取り戻しているのでは、と嬉しく思いました。

共同生活では、就職活動のサポートを受けることができます。就労体験や講座を通して、本人の得意不得意を見極め、適職を探すところまで、スタッフが伴走してくれます。そのおかげもあり、息子は最終的に飲食店に就職することができました。これは息子自身の少しの努力と、K2のスタッフの皆さんの尽力のおかげだと感じています。

ひきこもりからの脱却は簡単なことではありません。親子の間柄は家族だからこそ、距離を取ることが難しく、家族のみの力では対応することが難しいのだと思います。私たち家族は、息子がまだ若く柔軟な時期にK2のような支援団体につながったことで、家庭に平穏を取り戻すことができました。

私たち家族にとって、K2と家族会はかけがえのない存在となりました。息子と私たち両親が新しい人生を歩むことができるようになったのは、K2のおかげです。本当にありがとうございました。