お好み焼き屋の店長で、ついこの間、10年間付き合ったK2の学童のスタッフとやっと実って、結婚式をこの場所で挙げて。
そしてつい最近休みを取って、新婚旅行なのか家族旅行なのかよくわからないのを沖縄に行ってやってきて。あ、すみません、新婚旅行でですよね。
そういうことで、お母さんのご苦労も色々あったと思いますので、どうぞ。

代表

高校3年生の夏休み明けから――

よろしくお願いいたします。なんかもう心臓がドキドキして。はい。うちの子、今41歳になるんですけど、高校3年生の時にサッカー部にすごい燃えていて。

サッカー部が高校3年生の夏までで終わっちゃうので、夏休みが終わった途端に学校行かなくなっちゃったんですね。

「えー、困った」

せっかくここまで来たのに、高校も卒業しないで終わってしまうのかしらって心配してたんですけど、高校の先生がなんとかフォローして、高校だけは卒業したんですけど、進路が全然決まらなくて。

で、どうしたもんだろうなんて思っているときに、高校の同級生のお母さんからこういう仕事があるけどって誘われて、じゃあ行ってごらんよって。

とにかく、それまで昼夜逆転の生活をしていたので、なんとか普通に朝起きて昼働いてとか、働かなくても昼間起きていてくれればと、普通の生活をしてほしいなと思って行かせたんですけど、それも3ヶ月で辞めてしまって。

それからそのままずっと家にいることになったんです。

「自分でもどうしたらいいかわからない」とぼろぼろ泣いて――

で、ある時「あなたはどうしたいの」って聞きました。

息子は生来泣き虫なんですね。その時の私の一生懸命な必死さが伝わったのか、

「自分でもどうしたらいいかわからない」とぼろぼろ泣くんですね。

そんなに追い詰めてしまって、ここでこの子がどうにかなってしまったら、親としてもなんか辛いなと思ってしまって。それから、全部もうなにも言わなくなってしまったんですね。

そうこうしていても、やっぱり友達と遊びに行ったり、家族と出かけて行ったりはしていたんです。けれどやっぱり親の気持ちとしては暗い、どんよりしたものがあって。

その時以来、精神的にすごい追い詰められたというか。親だけ、私だけかもしれないんですけれど、すごく辛くて。この子、将来なんとかして家だけではなくて、他にも居場所を作ってあげなきゃいけないんじゃないか、これだけではいけないって思っていて。

「ここは良さそうだね」なんて言うと「だろ?」って子どもが――

そんな時に息子と二人で、パソコンで何か支援があるかしらと、ひきこもりなどの言葉を入れて検索したら、K2が出てきたんですね。「こんなところがあるけどどうかしら」と、二人で見てみて「よさそうだよね」と話して。そうしたら自分で説明会行ってみると言いだして、最初は息子一人で出かけて行ったんです、説明会に。

よく考えてみたら、他の皆さんは親御さんが一緒に来られていたようでしたのに、私は普通に子ども一人で行っといでよという感じで、「頑張ってきてね」って言って送り出したんですね。それで帰ってきて、「どうだった」と聞いたら「よさそうだった。でもね、今度は親を連れてくるようにって言われたんだ。」

私はそれで「そうなんだ、親も一緒に行かなきゃいけないんだ」って思って、次の説明会のときに二人でこちらに来まして、説明会を受けたんですね。

そこでスライドを見せて頂いたりとか、説明を聞いたりして、「ここは良さそうだね」なんて言うと「だろ?」って子どもも言うんですよ。

子どもがそう言うなら。子どもが嫌だって言うなら、また元に戻っちゃうのかなと思ったんですけど、「だろ」って言うんで。

そうかと思って色々説明を聞いて。その後、お昼になったら、この近くでころんぶすというお好み焼き屋さんをやっているから、行って食べてみてくださいと言われて。

説明会に来てる人たちがみんなで行かれるのかと思ったら、行ったのは私たち親子だけだったんですね。それで、なにを食べたらいいかわからないからもう緊張して、二人で「なににする?なににする?」と言っていたら、お店の方がお昼だったらこれとこれがいいよって言って、その通りに注文して。で、食べてたんですけど、まあなんか緊張しちゃって。

二人で「うまいよね、美味しいよね」って言いながらも食べたんですけど。とにかくその時の印象が、お好み焼きとかランチの味よりも、お店の雰囲気が良くて、スタッフの方々の雰囲気がよくて。説明会も良かったし。その後寮の見学に行ったら、寮の中まで全部見せていただいて。「こんなにしっかりしているならいいよね」って。

で、その足で横浜のロフトに行って、お布団とか全部送って、発注して。

で、そのままここにお世話になりました。

心配で心配で心配で――

最初にお世話になった時には、もうとにかくなにもわからなくて。子ども一人そういうところに出したことがないので、もう心配で心配で心配で。心配が今度、今までどんよりしていたものが、今度は心配の輪になって、いっぱいできてきたんですね。

心配で心配で心配。どうしているかしらね、何か、何かやらかしてんじゃないかとか、もう心配で心配で。

でも、そんな心配を払拭してくれるかのように、こちらのスタッフの方々がレポートをまとめて送ってくださっていたんですね。

シドニーに行ったり、石巻に行ったりしながらも、その都度レポートで、「こんなふうなことをやっています。安心していてください」っていう言葉が必ずあるんですね。

そうすると、その心配が少しずつ少しずつ、少しずつ小さくなっていって、それがよかったです。

そしてさらに、毎月の家族の会に来て、他の親御さんと話をしていると、K2のいろいろなお話が聞けて、自分も話すことによって共有できました。私の周囲にいる他の友だちには、いくら友だちだといっても、やっぱりそこのところは話せないんです。

息子が仕事もなく10年間家にいる、そういう話はできないでいて、なんとなくつっかえている感じがしていたんですね。

けれど、ここに来て皆さんのお話を聞いたり、自分の息子のお話をしたりすると、うんうんと聞いてくれることがとってもありがたくて。やっぱりここに来てよかったなって思いました。

10年間はそこに来るまでの助走だったのかな――

そして、子どもも「ここに来てよかったよ」って。でもやっぱりぶきっちょなんで、色々やらかしたりもしているんですけど、なんと言ってもここに来て居場所があったこと、それから自分のことを認めてもらえてるということ。

そういうことを家に帰ってくる度に感じてきたんですね。「ちょっと笑顔が増えてきたんじゃない」「やっぱりここ、いいよね」って。やっぱり私も子どもの笑顔を見たり、例えばころんぶすに行って、鉄板の前で焼いてる姿なんか見たりすると、よかったなって思って。

私も近ごろ今までちょっと我慢していた推し活を再開しました。夫に非難されながらも、お金を注ぎ込んで推し活しています。これも本当に、暗いトンネルに一筋見つけた光を追って開けながら来た結果なのかな、と思っています。もう本当にここに来てよかったなって。10年間はそこに来るまでの助走だったのかなって。

無理して他の会社に勤めて、お前はのろまだバカだなんだと言われて、なにかゴツゴツぶたれたりなんだりして否定されるより、K2に来て少しでも子どもの良いところを認めてくれている、それがありがたかったなと思います。

だから、これからも皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。