元当事者のけんけんが、16年のひきこもりを経て大学を卒業し、ミュージカルの舞台に立った。その話を聞きながら、改めて思う。彼は特別な存在ではない。違ったのは、たった一つ——縁とタイミングだけやった。 「K2インターナショナルグループ代表 金森 — 家族の会 講演より」

01 縁とタイミングが、すべてを変える
みなさんの子どもと、けんけんは何も変わらない。彼だけに特別な素質があったわけでも、ご家族が特別に優れていたわけでもない。唯一違ったのは、「縁」と「タイミング」をつかんだことだった。
「うちの子はいい話を聞いてもやっぱり動かない、変わらない」——そう感じている方は多い。でもその状況を変えるために必要なのは、正解を探し続けることではなく、「いいもの」を実際につかむことだけなんです。
「いいもの」って何か。それを掴みに来るために、今日ここに来ているはずやないですか。
02 「待つ」という選択が、長期化を招いた
37年前にこの仕事を始めた頃、不登校やひきこもりはほぼ一過性のものだった。当時は「登校拒否」と呼ばれていたが、「行きたいのに行けなくて苦しんでいる子に何が登校拒否だ」と若者支援の現場から声を上げ、「不登校」という言葉に変わっていった。
ところが「みんなで理解して、待ちましょう」という流れが社会全体に広がった後、何が起きたか。10年、20年、30年——信じられないほど長期化してしまったんです。
親世代の3年と、10代・20代の3年は、意味がまったく違う。
なのに待っているうちに、10代の子が20代に、20代の子が30代になっていく。
専門家に連れていけば「やりたいことができた時に頑張ればいい、あなたには生きる価値がある」と言われる。でも、それが残酷なんです。「やりたいこと」が見えないから苦しんでいる子に、それを言うのは。
03 小さな一歩より、飛躍が必要な理由
「ちゃんと挨拶できるようになってから」「学校さえ行けたら」——そういう小さなステップを積み上げれば、やがて一気に上手くいく、と思っていないだろうか。もうそういうことは起きないんです、と断言したい。
必要なのは飛躍だ。十分に苦しんできた子どもたちに必要なのは、普通のレールではなく、一挙に空を飛ぶような体験。日本の学校を経験していない子が、ニュージーランドの現地高校を卒業する。人前に出られなかった子が、日生劇場のミュージカル舞台に立つ。「そんなのできるわけがない」と思われるかもしれんけど、実際にそれが起きてきた。
コンビニに行って、友達と一緒に担任の悪口を言いたいだけ。
そんな当たり前のことができない辛さを、本気でわかってほしい。
その子が置かれた環境を変えること。ありとあらゆる手を使って、今いる場所から引き出すこと。それだけが、状況を動かす。
04 親が悪役に回る、ということ
子どもに嫌われたくない。自分は優しい親でいたい。その気持ちはわかる。でも、その結果として今の状況がある、とも直視してほしい。
親が責任取って、悪役に回ってください。その役ができるのは親だけやから。
ただし、誤解しないでほしいのは——無理やり参加させるとか、強制することじゃない。そんなことはしてはダメ。でも、何もしないでいることは、じわじわとその子の首を締めているだけのことやから。
「一回行ったらバイク買ってやる」でも「一万円やる」でもいい。そんなことで正義を問う必要はない。大事なのは、その子が「親に言われたから」「誰かに言われたから」という理由でやってみられること。自分で決めた場合と違い、失敗しても責任を全部背負わなくていい。その言い訳を作ってあげることが、実は親の大きな役割なんです。
05 元気になること・働くことを目標にしない
「元気になること」を目標にしてはいけない。「働くこと」も目標じゃない。それは結果であって、出発点ではないから。
自分がすごく面白いと思えることがある、何かやれることがある——その感覚がまず先に来る。そこから「ちょっと勉強してみようかな」という気持ちが生まれる。この順番が大事なんです。
不器用な子には、必ずものすごく秀でたところがある。
欠点だと思っていることが、実はプラスに作用すると思っておいてください。
ニュージーランドに抹茶カフェを作る。根岸の町でコッペパン屋さんをやる。「なんでそんな大げさなことを」と思う人は、その子たちが抱えている辛さの深さをまだわかっていない。普通の解決策では解消できないほどの何かを背負ってきたから、そういう体験が必要なんです。
06 子どもを引き留めているのは、誰か
言葉を選びたいけれど、正直に言う。子どもを家に留めてしまっているのが、実は親御さん自身というケースが少なくない。娘や息子がいない状況に、耐えられなくなってしまっている。
子どものために献身的に動いている自分が好き、という感覚がどこかにないか。今日ここに来ている自分は何かをしている、という充足感になっていないか。
いざその子が「じゃあ出よう」と思った時に、
実は親がブレーキをかけてしまう——そういうことが起きる。
人間は自分の存在感を失うことに耐えられない。その感覚が、日本のひきこもりを長引かせている大きな原因の一つだと思っている。お父さん・お母さん以外に、本当にその子のことを大切に思ってくれる人を作ること。それが支援の基本です。
07 運のいい人と関わることが、唯一の道
最後にはっきり言う。運が悪い世の中で、運が悪い子と愛嬌のない子は生きづらい——それは残念ながら現実だ。でも、運のいい子にするにはどうしたらいいか。答えはシンプルで、運のいい人と引き合わせることだけ。
運のいい人とはどういう人か。いつも笑っていて、「ありがとう」が自然に出てきて、すぐに挨拶できる人。そういう人と関われば、その空気はうつっていく。
家族の会のお母さん——最初は泣きの涙やった。それが、今は韓国旅行に一緒に行こうと言っている。
これが「運のいい側」に来るということ。
「子どもが家から一歩も出ていないのに、親がキラキラしていたら申し訳ない」と思う必要はない。むしろ逆です。親が元気でいること、つながっていること、笑っていることが、子どもへの一番の働きかけになる。
今日の話を「いい話を聞いた」の一回きりで終わらせないでほしい。ぜひ家族の会に来て、スタッフと話して、他の親御さんと出会って、継続的に関わり続けてください。運のいい方へ、一緒に来てください。
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