Zさんのお子さんは今、K2の寮に住みながら、外部就労というかたちで、一般企業で働いています。就労が決まった今も、働き続けるために必要なサポートを受けています。
小さな頃から学校への適応が難しく、行き渋りがあったりと、不登校に悩んできました。
成人してからも自分の考えや気持ちを言葉にすることが苦手で、なかなか周囲や、ご家族からも理解を得ることが難しく、そこに生きづらさがありました。その後K2に出会い、専門家のサポートを得ることで親御さんの理解が進み、長らく難しかった自立に向けての活動が進んだ事例です。
不登校の理由は、今でもわかりません
幼い頃は大人しく、すごくこだわりが強くて初めての場所を嫌がるような子でした。
中学、高校では学校で嫌なことがあると「行きたくない」と言ったり、高校生の時は学校も休みがちになり、実際に行っていなかった時もありました。
学校に行けば普通に部活もするし、友達とも遊んでいるので、なんで行きたくないのかがわからない。理由を聞いても黙り込んでしまい、言えなかった。今でもわかりません。

大学に入って3ヶ月経った頃には「学校に行きたくない」と言い出し、理由を聞くと人と話すことが苦手と言いました。周りの人と馴染めなかったのかもしれません。
その日から大学に行けなくなり、結局辞めることになりました。
大学を辞めてからは、家の中で1日中ボーッと過ごし、家族と一緒に食事やテレビを見たりはしますが、外出もしなくなり、無気力な状態でした。
そんな息子を見ていると私もイライラしてくるし、どうしたらいいのか。主人と相談して、息子と一緒に心療内科に行ったこともありました。
家にひきこもって1ヶ月経った頃、息子の友人から携帯に電話しても繋がらないと連絡があり。その友達と連絡を取り合うようになってから、外には出るようにはなりましたが、家では相変わらずなんだかボーッとしている。
途中の駅で降りてしまうんじゃないか、会場に着くまでは心配で…
そんな生活が1年経った頃、合宿で車の免許を取りに行きたいと言ってきて、場所も自分で探して合宿に行き、免許を取りました。
でも、免許は取れたが仕事もせず。変化はありませんでした。

K2を知ったきっかけは、このまま何もしないで家にいるのか、と将来を不安に思い始めた頃、息子が高校生ぐらいの頃に観た、テレビの番組を思い出したことでした。
横浜でひきこもっていた若者が働くために寮生活するシーンでした。すぐに「横浜 ひきこもり」で検索してK2を見つけました。
息子にも「こんなところがあるけど行ってみないか」と話をしてK2に電話し、説明会と面談日を予約しました。
当日になって「やっぱりなんか行きたくない」と言い出すんじゃないか、電車で行く途中の駅で降りてしまうんじゃないか、会場に着くまでは心配でしたね。
着いてからも、息子が説明会で話を聞いている様子は、全く興味がなさそうでした。
その後の面談では相談員さんから、息子と話をしてみたところ、アスペルガー症候群の特徴があるかもしれません、と言われました。私は当時アスペルガー症候群ということが、全くわかりませんでした。面談の場で初めてその特性を聞き「ああ、そういうことだったのか」と思い、その時すごく気持ちが楽になったのと、息子が生きづらかったんだな、と思い至りました。
その後入寮の話をして、いつからでも入っていいとは言われていましたが、できれば同期がいたほうがいいので、他の人と一緒に入った方がいいでしょうと、入寮日が1か月後に決まりました。
本人ですが、はじめは全く興味なさそうだったのに、面談後には入る気持ちになっていたことにちょっと驚きました。
転職のきっかけは行方不明になったこと…
入寮してからは一緒に入った子たちと楽しく過ごしていると聞きました。
横浜で半年、その後石巻に行き、石巻では水産加工会社で仕事をしていました。2年経った頃にまた辞めて帰りたいと言い出し、スタッフに相談して横浜に戻ってきて、K2の事業のうんめえもん市、お好み焼きころんぶす、アロハキッチンで仕事をして、その間にK2のスタッフになりました。

今の状態ですが、2023年4月から外部で就労を始めました。でも、そのきっかけは行方不明になったことでした。K2の仕事を無断欠勤して、連絡も取れなくなり。スタッフのみなさんのおかげで4~5日で見つかりましたが、あの時は本当に申し訳なく…。
戻ってきた息子は「K2をやめて外で働きたい」そう言ってきました。そこで代表の金森さんに話をしてもらい、外部で働くことが決まりました。
今はK2の寮に住みながら通勤しています。仕事が決まってからもスタッフの方には、会社に提出する書類の書き方など色々教えて頂いていると聞いています。職場は県内ですが遠くて、一緒に働く人も外国の方が多く、話す人が少ないらしいとも。でも、頑張っていると思います。
最初は順調、でもまた、いずれちょっと続かないと思う
先程も金森さんと、息子はたぶん最初は順調にやるんだろう、でもまたいずれちょっと続かないようなことになってくるんじゃないか。そういうお話をしました。おそらくそんなことになるんじゃないかと思っているので、これからも見守っていてください。
ありがとうございました。